DHEAのこと皆様ご存知でしょうか?
DHEAとは『デヒドロエピアンドロステロン』の略で、腎臓の上にある副腎で作られるホルモンです。
副腎では約150種類のホルモンが作られていて、しかも一番多く作られるのがDHEAなのです。
夜明け前に大量に生成し、日中には生成量が激減します。
ちなみに副腎では皮質と髄質で作られるホルモンが異なります。
副腎皮質:アルドステロン、コルチゾール、アンドロゲン、DHEAなど
副腎髄質:アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど
アドレナリンは聞き覚えのあるホルモンですね。
興奮すると出てくるホルモンです。
そういった重要なホルモンを作る副腎ですが、今回は性ホルモン、DHEAについてのお話です。
このDHEAは依然にも出てきていましたが、性ホルモンととても深い関係があります。
性ホルモンの説明を最初にしなくてはいけませんね。
性ホルモンはコレステロールから作られるホルモンで、総称として『ステロイドホルモン』と呼ばれます。
ステロイドホルモンと聞くと・・・怖い・・・と思う人もいるのではないでしょうか?
薬で存在するステロイドもステロイドホルモンも同じで油系ホルモンです。
私たちの皮膚には皮脂があって、油膜が張っているんです。
だからステロイドを塗ると油と油は親和性があるので吸収されやすいということです。
だから劇的に効くんですね。
※本当はもう少し細かいメカニズムです
さて性ホルモンには男性ホルモンと女性ホルモンがあります。
男性ホルモンはアンドロゲンと呼ばれ、テストステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、デヒドロエピアンドロストロン(DHEA)、アンドロステロン、アンドロステンジオン、エピアンドロステロンなどがあります。
女性ホルモンには卵胞ホルモンと黄体ホルモンに分かれます。
卵胞ホルモンにはエストロン、エストラジオール、エストリオール、黄体ホルモンにはプロゲステロン、17-ヒドロキシプロゲステロン、プロゲスチンがあります。
細かい種類がたくさんありますが、どれもコレステロールから作られることは変わりません。
またコレステロールはアセチルCoAから作られますよ。
さてDHEAに話を戻します。
副腎で作られたDHEAは血液の中に溶け込み、全身の細胞たちへと運ばれます。
そこで男性ホルモンのアンドロゲンに、または女性ホルモンのエストロゲンに変化します。
DHEAが主に男性ホルモンに変化するか、女性ホルモンに変化するかは、その人の健康状態、年齢、性別に左右され、個々それぞれ違ってくるそうです。
男性は睾丸でもアンドロゲン(大部分がテストステロン)が作られ、女性では卵巣でもエストロゲン(大部分がエストラジオール)が作られます。
どのように性ホルモンが作られるか見ていきましょう。
①アセチルCoAは細胞質基質にある解糖系やクエン酸回路で作られる
②主として肝臓で、小腸、副腎皮質、性腺などでもコレステロールの合成が行わる
③脳からの指令で細胞内のミトコンドリア内でコレステロールを使って、ステロイドホルモンの合成は行われる
ざっくり書くとこんな感じです。
コレステロールは細胞膜を構成する物質として有名ですが、ホルモンの原料になるものは細胞膜ではなく細胞質基質(細胞の内側)に貯蔵されています。
ホルモンを作るかどうかの合図は、脳からの指示で決まります。
視床下部から下垂体を経由して刺激物質が各組織に届くと、各組織の細胞はこれを合図に、細胞質基質に遊離しているコレステロールをミトコンドリアまでに運んで、ホルモンの生合成を開始します。
図にしようと思いましたが思いのほか難しく断念・・・
コレステロールって重要ですね。
ここでこれステロ―ルについても少し触れておきます。
コレステロールは細胞膜の主成分で、全身に分布し、特に脳神経、副腎に多く含まれます。
コレステロールは食事由来と体内合成由来の2つのルートで体内に存在します。
食事で摂取されるコレステロールは全体の20~30%が吸収されます。
体内合成では全体の70~80%のコレステロール合成が行われ、肝臓(50%)、小腸(15%)、皮膚(35%)の部位で作り出します。
肝臓では1日約12㎎~20㎎/㎏(体重50㎏で600㎎~1,000㎎/日)が作られていることになります。
食事より体内で合成される量が多くなります。
食事で摂り過ぎた時には、合成を抑制する働きもあります。
食事由来のコレステロールは胆汁酸などと複合体(ミセル)という集合体になって小腸から吸収されますが、ミセルには決まった大きさがあり、入りきれなかったコレステロールは便に排泄されます。
だから、脂が多い食事を摂っても、過剰に吸収することはないのです。
ミセルは水溶性で、受動拡散により小腸の吸収細胞内に吸収されます。
小腸吸収細胞内に入ったコレステロールはタンパク質と結合したリポ蛋白、『カイロミクロン』となり、リンパ管に入り、全身に流れていきます。
続いて体内ではどうやって作られているのでしょうか?
三大栄養素である糖質、脂質、タンパク質は分解されてアセチルCoAとなり、コレステロールを作ることができるということです。
ここで間違えてほしくないのは、三大栄養素はどれもアセチルCoAを作ることができますが、糖質に関しては嫌気的解糖系、つまり無酸素運動中の糖の分解ではアセチルCoAは作られませんのでコレステロールを作り出すことができません。
こちらは嫌気的解糖系と好気的解糖系をご覧ください。
体内で作られコレステロールも同様に、タンパク質と結合したカイロミクロン、リポ蛋白として全身を巡ります。
さてここからがコレステロールの善悪の話になってきます。
コレステロールなどの脂肪はミセルとなって小腸内の細胞に入り込み、そこでタンパク質と結合して、リポ蛋白になりました。
このリポ蛋白には種類があって、おそらく皆さんもご存知かと思います。
善玉や悪玉という言葉が登場します。
カイロミクロンについては先ほども出てきたので割愛します。
ここではLDL、HDLについてご紹介ます。
LDLは低比重リポタンパク質といい、肝臓で生成され、コレステロールを各組織に運ぶ働きがあります。
コレステロールは細胞増殖やホルモン合成などに重要な働きをしているので、LDLは必要です。
ただコレステロールを全身に運ぶため、悪玉などといわれてしまっただけです。
HDLは高比重リポタンパク質といい、主に小腸で作られますが肝臓でも合成されます。
細胞や血管のコレステロールを回収して肝臓に戻す働きがあります。
動脈硬化の原因がコレステロールだとすると、そのコレステロールを回収するので善玉コレステロールと呼ばれます。
ここでは説明不要かと思いましたが、身体に悪い脂はコレステロールでも中性脂肪でもありません。
血液中に含まれている過酸化脂質(コレステロールエステルに含まれる酸化された不飽和脂肪酸)が悪なのです。
不飽和脂肪酸は今までたくさんご紹介しましたが、脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がありました。
不飽和脂肪酸は液状になっているもので、構造的に不安定で、加熱や酸化を受けやすく性質があります。
古くなった油ってとても嫌な臭いがしますよね。
私たちの使う植物油は不飽和脂肪酸で、加熱、空気に触れることで過酸化脂質となりますのでご注意ください。
話がずいぶんと脱線しましたが、コレステロールを単に悪者ととらえる一方的な解釈は間違いであることをお分かりいただけたでしょうか?
細胞膜だけでなく、ホルモンには欠かせない物質なのです。
もう一度DHEAに戻りましょう。
ホルモンの基本は『フィードバック作用』というシステムがあり、調整されます。
コルチゾール、テストステロン、エストロゲンなどのステロイドホルモンも同様です。
具体例として、コルチゾールはストレス時に出てくるホルモンですが、フィードバック作用によって制御されているので、コルチゾールに相当するプレドニゾロンなどのステロイドホルモンを体外から補充すると、コルチゾールの自然生成は停止してしまいます。
では、男性ホルモンであるテストステロン、女性ホルモンであるエストロゲンを体外から補充したらどうなるでしょうか?
そうですね、自然生成は停止します。
本来、性ホルモンを増やしたい理由は、精子の数や質、卵子の質、内膜の厚さ、妊娠維持などに影響があるからです。
だからこそ、性ホルモンを増やしたいのに、体外から補充したら、自分のホルモンは出なくなる可能性があります。
ここで間違えてほしくないのは、フィードバック作用というのは、目的とする量になったときに起こります。
ちょっとややこしくなってきましたがこう考えましょう。
脳が上司、卵巣が部下だとします。
上司が指令して仕事を振ると、部下はそれを処理します。
ホルモンを出せと上司が指令し、部下がホルモンを出すという感じです。
上司が指令を出しても、部下が動かない場合、上司はひたすら指令を出すでしょう。
これは卵胞刺激ホルモンとエストロゲンの関係でいうとFSH高値、E2低値の状態です。
いわゆる閉経の合図です。
これでは卵胞や内膜も育ちにくいので、E2を補充する。
するとフィードバック作用で『ホルモン足りてるよ』と脳へと情報がいくのです。
・自分のホルモンが出ていない場合はホルモン補充をしてホルモンバランスを整える。
・自分のホルモンが出ているにも関わらず、ホルモン補充をすると自分のホルモンが出なくなる可能性があるということです。
しかし、DHEAにはこのフィードバック作用がないというのです。
これは体外から補充しても、体内の生成には影響をしないということです。
DHEAは結果的にエストロゲンやテストステロンに変化しますが、体外補充しても自分のホルモン量には変化なしということです。
なので結果的に摂り過ぎは存在しないと考えてよさそうです。
しかし、ステロイドホルモンなので、長年の服用は少し怖く感じますね。
そして副作用はある可能性があります。
・ニキビができやすい
・女性にヒゲが生える
・声が低くなる
・イライラしやすくなる
・興奮したり、不眠になる
・疲労感を感じる
・頭痛がでる
などが報告されているようです。
DHEAはまだ解明されていない部分もありますがここで、どのような働きがあるか見ていきましょう。
・若返り
・性機能改善
・リラックス
・睡眠の質改善
・心疾患率を低くする
・インスリンの機能を向上させる
・DHEAとコレステロールの均衡を保つ
・気分を向上させる
・着床率を上げる
リプロダクション東京のブログでも紹介されています。
DHEAの解明が引き続き必要ですが、可能性を上げるためにはチャレンジする必要がありますね。
妊活では卵子の老化、精子の老化など『エイジング』が問題の一つとされています。
であればアンチエイジングすれば良い。
我が家でもアンチエイジングを最大限に行いました。
DHEAをはじめ、ビタミンC、ビタミンEなどのサプリやショウガなどの食品の摂取、無駄な酸素摂取を控え、体温を上げ過ぎないなどを実践しました。
結果、卵子と精子の質が上がり、結果が出たのかもしれません。
ここにきて残念なお知らせです。
そうやら2019年1月よりDHEAはサプリとして、個人輸入が禁止され、入手できなくなりました。
やはりホルモン系のサプリは日本では敷居が高いです。
不妊クリニックからは購入できますので、そちらからのご購入をお勧めいたします。(値段は高くなるでしょうけど)
何かございましたらご質問ください。
銀のすず